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気候変動と土壌の再生

野菜の栄養が数十年前と比べて減ってきているのはご存じですか?
1950年と2015年の野菜の栄養素量を比較すると、ニンジンのビタミンAは4,455ngから720ngに、ホウレンソウのビタミンCは150mgから35mg、鉄は13mgから2mgに減少しています。農業における農薬や除草剤を使った大量生産、大量消費による生産がいつのまにか肥沃な耕地を減少させているのかもしれません。
国際農林水産業研究センターによると世界の耕地面積は、2019年で約1,244百万ヘクタール(Mha)と推定されています。その内訳は、ユーラシア大陸が55%、アフリカが17%、北中米が16%、南米が9%、オーストラリアとニュージーランドが3%です。

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農業は土地を変え、農地拡大による森林破壊や生物多様性喪失の最大の原因にもなります。
収穫量を増やす一方で土壌の健康を阻害するやり方は植物と土壌菌類との相互作用を妨げ、土壌から吸収される栄養分を減少させています。
温暖化対策として有効な「カーボン・ファーミング」(大気中のCO2を土壌に取り込んで、農地の土壌の質を向上させながら温室効果ガスの排出削減を目指す農法)として注目される環境再生型農業の第1人者としても知られるゲイブ・ブラウン氏は著書「土を育てる」の中で必要なことは「土の健康」=土の生態系を蘇らせることだと語っています。
土壌を健康にする5つの法則はこちらになります。

第1の原則
・土地をかき乱さない
土を機械的、化学的、物理的になるべくかき乱さない。耕すと土壌の構造が壊れてしまう。そして、肥沃な土を作り出す土壌生物たちの棲み処をわざわざ引っ掻き回すことになる。

第2の原則
・土を覆う
土は常に覆う。むき出しの土は正常ではない。自然はいつだって土を覆い隠そうとする。

第3の原則
・多様性を高める
植物と動物の多様性を確保する。多様性によって生態系の機能は強化される。

第4の原則
・土の中に「生きた根」を保つ
生きた根は土壌生物のエサとなる炭素を供給している。そして、土壌生物は植物のエサとなる養分の循環つくり出す。

第5の原則
・動物を組み込む
動物が植物を食べることで植物が刺激され、土により多くの炭素が送り込まれる。
土壌が露出してむき出しの土はどんな農地や牧場においても生態系の劣化を示す兆候です。
土の生態系を回復することで、大気中の炭素や窒素を地中に取り込むことができ、作物の育ちもよくなり、同時に気候変動の抑制も果たされます。
人類の活動の中で最も自然を変えるのは農業であり、気候変動を救う鍵は二酸化炭素を植物と土壌に返すことにあります。有機農法で有機物が1%増えると4千平方mの土壌は10トン多く炭素を吸うことが分かっています。
自然に目を向ければ再生の力で大地を癒し、気候を安定させる循環をしてくれます。
自然が教えてくれる方法を使えば環境や人に優しいだけでなく、農業としての収穫量の増加や新たなビジネスに発展する可能性があるかもしれません。

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