竹の利用とサステナブル

「竹」と聞いてどのようなことをイメージされますか？
京都の竹林の小径や鎌倉にある報国寺の竹林も見応えがある観光スポットです。タケノコも春先から芽がでて、炊き込みご飯や生で食べたり鮮度よく美味しくいただけます。竹は軽くて丈夫なことから昭和の高度経済成長期までは漁業や農業の道具としても活用されていました。 伝統的な家屋では土壁や床材として竹を使うことで室内の温度や湿度調整、強度を必要とする建築資材としても重宝する資源です。
竹は成長促進を必要としない植物でやせた土地など過酷な成育環境でも育ち、どの植物よりも早く大気中の炭素を取り込む地球温暖化への対策においても利用価値の高い植物です。 竹は木に比べ、再生可能で成長が早く、40%以上も二酸化炭素を吸収し、約35%も多く酸素を生み出すことも分かっています。
竹はさまざまな用途としても使われています。竹の珈琲フィルター、竹の水筒、竹薪、竹の肥料、乳酸菌が入った竹パウダー、竹酒／竹焼酎、竹の入浴剤、竹茶などに応用でき、トーマス・エジソンが電球のフィラメントに竹を使ったのは有名な話です。
竹はコンクリートのような圧縮強度とスチールのような引っ張り強度を併せ持ち、繊維は柔らかく、耐久性がありしなやかな性質があります。
竹の持つ強度な資源としての特性を活かした1つの例が「竹自転車」です。

自転車のフレームはスチールやアルミニウム、チタン、カーボンファイバーなどが使われハンドルやブレーキ、タイヤと組み合わせることで竹が自生していない国でも取り組め、アジアやヨーロッパなど多くの国で制作が行われています。
世界各地で二酸化炭素や大気汚染物質を排出しない地球環境に優しい乗り物として自転車が注目され、スチールやアルミニウム製の自転車に代わって、非常に軽く、振動吸収性に優れ、丈夫な竹を使った自転車作りが再評価されています。

最近の技術によりスチールやセメントなどの幅広く使われる建材の代わりに竹が使えるようになり、通常なら建材の製造工程で出される温室効果ガスの排出が回避されます。
竹は生態系に悪影響を引き起こす可能性もあるため慎重に適切な場所を選択し、竹の成長を管理する必要があります。 竹は地球温暖化への自然な対策として利用できるだけでなく、食料やトイレットペーパーなどの生活必需品、椅子や皿などの工芸品だけでなく衣類の繊維としても活用でき、持続可能な資源としての可能性が広がる植物です。